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2024年03月14日

セマグルチドはHIV感染者の脂肪肝疾患を改善する
Semaglutide improves fatty liver disease in people with HIV

写真
Dr Jordan Lake at CROI 2024. Photo by Roger Pebody.

CROI 2024で発表された試験結果によると、減量薬として最もよく知られているセマグルチドは、HIV感染者における肝臓脂肪の蓄積と代謝機能不全に関連した脂肪性肝疾患(MASLD)を減少させた。

以前は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)として知られていたMASLDは、進行した肝臓病の割合が世界中で増加する原因となっている。この新しい名称が示唆するように、MASLDは肥満、2型糖尿病、その他の代謝異常と関連している。肝臓脂肪の蓄積が時間の経過とともに、炎症、肝線維症、肝硬変、がんにつながる可能性がある。

HoustonのUniversity of TexasのJordan Lake医師は、HIV感染者の肝臓脂肪含有量に対するセマグルチドの効果を評価する第Ⅱb相試験であるSLIM LIVERの結果を発表した。

本試験では、抗レトロウイルス療法を受けていて、胴囲が大きく、インスリン抵抗性または糖尿病前症があり、MASLD(MRI画像検査で肝臓脂肪含有量が5%以上と定義)を有する成人51名が登録された。

参加者はセマグルチド皮下注射を週1回24週間自己投与し、1 mgに達するまで徐々に増量した。6ヵ月時点で、肝臓脂肪の絶対値の減少率は平均4.2%、相対的な減少率の平均は31.3%であった。4分の1超がMASLD の完全消失を経験した。

肝臓脂肪の減少により、体重(中央値7.8 kg減少)、胴囲、空腹時グルコースおよびトリグリセリド濃度が有意に改善した。

参加者の約20%はセマグルチドに反応せず、これは一般人口での割合と同程度であった。

現時点で、脂肪肝疾患に対して承認されている治療法はなく、管理は減量や運動などのライフスタイルの変更に頼ってきた。しかし、Lake氏は、セマグルチドが進行した疾患には効果がない可能性を警告した。「セマグルチドは、疾患を早期に治療あるいは予防する方法であり、既存の肝疾患を回復させる方法ではない」とも述べた。

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This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

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